from dusk to the sun (-Light years Ⅲ- THE NORTH FACE Sphere M/N)(カセットテープ)
¥2,750
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from dusk to the sun
(-Light years Ⅲ- THE NORTH FACE Sphere M/N)
by haruka nakamura
2023年2月14日発売
THE NORTH FACE Sphereのために「春夏秋冬に合わせそれぞれ一枚のアルバムを」とのリクエストを受けharuka nakamuraが作ったサウンド・トラック。
「Light years」と冠され、一年をかけて四枚のアルバムを制作するプロジェクト。
そこでは冬が最も美しい
from dusk to the sun
"日没から夜明けへと贈る音楽"
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Alone together
from dusk to the sun
夜明けの君へ
LUZ IZ
M/N
DEEP BLUE
Sleepers Delight
7tracks / 58 min.
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all written & mixing by
haruka nakamura
mastering / Gen Tanabe (Studio Camel House)
design / takahisa suzuki (16 design institute)
A&R / kyoko yamaguchi (one cushion , INC)
collabolate with THE NORTH FACE Sphere
thanks / hiromichi tanaka
灯台LABEL.
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「from dusk to the sun」
/ ライナーノーツのような制作日誌Ⅲ
「from dusk to the sun」
-Light years Ⅲ-
THE NORTH FACE Sphere M/N
by haruka nakamura
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01.Alone together
02.from dusk to the sun
03.夜明けの君へ
04.LUZ IZ
05.M/N
06.DEEP BLUE
07.Sleepers Delight
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ノースフェイスとのコラボレーション
いよいよ北の季節へ
故郷・北国に立ち戻り
雪が降る夜、最初に生まれた音楽
北のアンビエント
そこでは冬が最も美しい
from dusk to the sun
"日没から夜明けへと贈る音楽"
01.Alone Together
このアルバムは2021年の冬に
僕が北海道に移住してすぐに作っていた曲たちを主に構成されている。
つまり発売より一年前に、ほぼ完成していたが
この曲だけ新しく作ってあとから加えた。
本来ならアルバムの最後に位置するような楽曲。
このシリーズで前作までに提示したサウンド・スタイルの、一旦の終わりとして一曲目に据えた。
一つの物語の句読点であり、
次の曲から本格的に冬の静謐な世界が始まる。
"ここから深い北国の世界へようこそ"
そんなメッセージ・ソング。
「アローン・トゥゲザー」
Chet Bakerが聴こえてくるようなタイトル。
本来は「二人きり」と言う意味だが
人は誰しもが孤独と共に在る。
しかし、一人でそこに立っているわけではない。
あなたの背中を押す、讃美歌として。
02.from dusk to the sun
"日没から夜明けへの手紙"
北国移住の初期衝動のみで作っていた
宛先のなかった曲たち。
誰に聴かせようというわけでもなく、
立ち戻った久しぶりの北国の息吹をただ、音に。
最初に生まれた楽曲。
夜明け。
雪が降る沈黙の朝。
北国の冬の夜は雪灯りが反射して仄かに明るい。
橙に灯されて、
寒い冬にこそ暖かさを感じる。
「寒いことが、人の気持ちを暖めるんだ。
離れていることが、人と人とを近づけるんだ。」
星野道夫さんの言葉が胸をしめつける。
そんな夜明けに一人、聴いてほしい。
「what wonderful world」
窓を開けてみよう。
世界はこんなにも美しい。
03.夜明けの君へ
夜明けを一人で迎えてるあなたへ。
今まさに今日の光が昇っていく。
新しい一日が始まる。
北国のベランダで
奇跡のような夜明けの光を見ながら
海が黄金に輝く様子を呆然と眺め、この曲を作った。
アンビエントは長く時間を共にすることで
身体に浸透していく。
今作は派手なサウンドで構築された音楽ではないが、繰り返し長い時間を音と共に過ごしてもらえたらと願い、日々のサウンドトラックとしての情景を歌っている。
あなたが、夜明けを一人で眺めている時。
きっと、何処かで誰かも同じように目を細めている。
04.LUZ IZ
LUZとは光。
「光とは」
初期の頃から一貫しているテーマ。
人は闇夜に輝く星々に亡くした人を想う。
離れてしまった人を。
過ぎ去った大切な思い出を。
魂の行方。
「いくら探しても、そこにその人は居ないんだよ」と誰かが言う。
でも、僕は確かに存在していると思う。
彼らの粒子は夕暮れの光に瞬いている。
だから、涙がこぼれる。
光は受け取る側の想いで変化する。
美しい夕焼けは太陽の屈折角度と空気中のチリの反射によるものかも知れない。
けれども、
音楽が「ただの振動」ではないように
原理ではなく、想いがあるから心が動く。
そこにきっと「情緒」がある。
願わくば情緒が感じられる音を作りたい。
自己の井戸の底まで降りた暗闇の底で
渇望する光がある。
闇が光を生む。
孤独が光を望む。
ある痛みを伴った先の光景。
だからこそ、そこには美しさが待っているように思う。
05.M/N
このシリーズのアルバム・サブタイトルは季節を表している。
今回のM/Nは
「Mid Winter / New Year」
という季節。
この楽曲においては
「Mid / Night」という意味としたい。
(なんとなくの言葉遊びです。)
「Lamp」という曲の未発表デモ・バージョンを
セルフ・サンプリングしている。
Lampはターニングポイントとなった曲。
生まれたのはnicaという本当に初期活動の頃で
(nicaの初ライブ映像がYouTubeに残っているが、既に初演している。)
時系列的にgraceを作るより以前。
後にNujabesさんが夢のようなビートを織り込んでコラボレーション曲として生まれ変わり、広く多くの人に認知された。
彼の影響で未だに世界中のリスナーから感想が送られてくる。
Lampはまさに冬の故郷の音であり
様々なバージョンが生まれ、
共に歩んできてくれたような曲。
ほとんどライブでは演奏していない。
何年も前のNujabesさんのトリビュート・ライブが最後かと記憶している。
06.DEEP BLUE
26分間もある楽曲を作ったのは、
PIANO ENSEMBLEのようなライブアルバムを除けば記憶にない。
こんなにも長い曲を作った理由は
冬の寒い夜を深く安心して暖かく眠るため。
ゆっくりと繰り返す反復に存在する安堵。
個人的なことだが、僕はあまり深く眠れない。
15才で上京してから長い期間、
午後に寝て夜に起きるような
昼夜逆転の生活をしてしまっていた。
その影響もあり15年間ほど真夜中に音楽を制作していた。
少しまともになった今でも、夜中によく目が覚めてしまう。
起きた時に夜明けを見ることも多い。
眠れない人が多いらしい。
「眠る時によく聴いてます」
との声も多く届く。
僕は実際的にこの曲を眠りの音楽として
一年間、過ごしてきた。
2021年の冬からほぼ毎日。
この曲を聴いて毎晩、眠りについた。
リピートして、絞ったボリュームで。
聴こえるか聴こえないかくらいの音量で
ゆったりとベッドに沈む。
旅先でも、御守りのようだった。
しかし店舗の音楽として
眠りの音楽を提供するというのは
少し心配な部分ではあるけれど
北国の夜のこの情景は
冬の東京、ノースフェイスの空間にも合うと心から願います。
「DEEP BLUE」というタイトルについて。
眠りは深海に潜っていく作業に似ている。
僕はジャック・マイヨールというダイバーの
精神世界を昔から敬愛しているので、
彼の内省に深く潜っていく姿を連想してこの曲を作った。
最後に薄く聞こえる彼の語り声。
夢の中にも、その声が届くかもしれない。
※配信では26分間の長尺は登録が難しく、3つのセクションに分けて編集した。
07.SLEEPERS DELIGHT
夜は孤独と共に在る。
しんしんと雪が降った夜は、
静寂が世界を包み込む。
故郷でいくつもの、そんな冬の夜を過ごした。
「Rapper's Delight」という
1979年に発表された
"ヒップホップ最初の曲"とも言われる曲があるが、
タイトルはそのオマージュ。
Delightは"喜び"
眠り人への讃歌。
冬の静けさが、音楽のルーツにある。
静寂の眠りへ。
こんな時代だからこそ、
安心して眠るための夜に寄り添った音を。
"戦争の反対は芸術です"と声がする。
安寧に眠れる日々を、
誰が僕らから奪う権利があるのだろうか。
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・あとがき
書いてある通り、
このアルバムは2021年の冬にすでに完成していたが
夏と秋のアルバムの感覚を反映してミックスを一年後にもう一度やり直した。
ノースフェイスからプロジェクトのお話を頂いた時に、最初に渡したデモがこのアルバムだった。
「この世界観で制作して良いですか」と投げかけ、
答えはYESだった。
そして、一年後
「Alone Together」を新たに追加して
一曲目に据えた。
北国に移住して最初に生まれた音楽。
一年越しに完成した。
このプロジェクトの出発点であり、
ひとつの終わりでもあるように思う。
そして、新たな春が遠い先で待っている。
2022 / 11.30
初雪の降る北海道より
haruka nakamura