SUN.Light (-Light years Ⅳ- THE NORTH FACE Sphere S/L)(カセットテープ)
¥2,750
SOLD OUT
*2023年5月20日
*カセットテープ
*S/L = Spring to Light
________________
SUN.Light
(-Light years Ⅳ- THE NORTH FACE Sphere S/L)
by haruka nakamura
THE NORTH FACE Sphereのために「春夏秋冬に合わせそれぞれ一枚のアルバムを」とのリクエストを受けharuka nakamuraが作ったサウンド・トラック。
「Light years」と冠され、一年をかけて四枚のアルバムを制作するプロジェクト。
THE NORTH FACE / Sphereとのコラボレーション・フォーシーズンズ・アルバムもいよいよ最終作。
四季を歌った渡り鳥は、また高い空に羽ばたいていく。
いつの日も彼らは長い旅の途上である。
そして僕らも。
旅を続けよう。
大切なのは、出発することなのだから。
haru
デイドリーム
春にして君を想う
サンライト
北斗七星
ハーフノート
ポイントホープ
Morse Code
Ursa
LONG JOURNEY
10tracks / 39min.
___
all written & mixing by
haruka nakamura
vocal & cho / Meadow(1.2)
fluegel horn / yudai suzuki (2.4)
poetry words / shinichiro harakawa(BEARD) (10)
mastering / gen tanabe (Studio Camel House)
design / takahisa suzuki (16 design institute)
A&R / kyoko yamaguchi (one cushion , INC)
collabolate with THE NORTH FACE Sphere
thanks / hiromichi tanaka、toshiaki hamada(nica)、TKC、takashi hatazawa(Media Integration)
灯台LABEL.
________________________
「SUN.Light」
-THE NORTH FACE Sphere 2023 S/L
ライナーノーツのような
制作日誌Ⅳ
THE NORTH FACE / Sphereとのコラボレーション・フォーシーズンズ・アルバムもいよいよ最終作。
四季を歌った渡り鳥は、また高い空に羽ばたいていく。
いつの日も彼らは長い旅の途上である。
そして僕らも。
旅を続けよう。
大切なのは、出発することなのだから。
1.haru
春の日。
晴れやかな心で出発しよう。
同じ春は二度とやってこない。
永遠に続くものなど、一日もないのだから。
それでも、
僕らは何度でも新しく旅立つことができる。
一つの終わりは同時に始まりでもある。
喜びのハーモニーが聴こえる。
ハレルヤと、歌声が旅を祝福する。
2.デイドリーム
夢の中。
朧げなトランペットと優しい歌声に包まれて。
アコースティックギターが淡々と時を刻む。
そこでは時間がゆっくりと、流れていく。
まどろみ。光の午後。春からの電話が鳴る。
3.春にして君を想う
「シェナンドー」という舟唄の民謡がある。
インディアンの言い伝えで「星の娘」という意味を持つ言葉らしい。
大きなシェナンドー川から生まれた、ひとつの小川のようなメロディが聴こえてくる。
永く渡るリバー。
流れは遥か遠くまで続いていく。
せせらぎを聴きながら、いつまでも眺めている。
4.サンライト
木漏れ日が暖かな道のり。
鳥たちは高らかに、冬のあいだ待ち侘びたこの幸福な季節を歌う。
その歌声は、なんと美しいのだろう。
8ミリフイルムの映像のような淡いひかりのなかをゆく。カバーを外した文庫本を持って。
静かな喫茶店がある、あの坂道を歩こう。
珈琲で一息ついていたら、窓辺から海が遠くに見えた。
5.北斗七星
「北斗七星」と名のついた駅に古いグランドピアノが置かれていた。
なんとなく、弾いてみる。
駅舎にトーンと音が響いた。
北斗七星が最も見やすいのは春と言われる。
夕方に空高く昇るのだ。
列車に乗ってみるのも良いかも知れない。
春の車窓からは何が見えるだろうか。
遠くまで、旅をしたくなった。
6.ハーフノート
発車ベルが鳴った。
春は「あわいの季節」
出会いと別れ、終わりと始まり。
彼岸。
こちらと、あちらの世界が曖昧になるらしい。
儚い幻影。
ただ時間が流れていく。
世界の半分は曖昧な境界線上の光と闇で作られている。
ハーフノート。2部音符がゆっくりとレールを刻む。
そんな場所へと、列車は運んでいく。
7.ポイントホープ
北斗七星駅から発車した電車の車窓から、流れる春の景色を眺めている。
ポイントホープはアラスカの最北にある村。
「希望の場所」
彼はどんな希望を持ってあの大地へと渡ったのだろう。
北国の焚き火の音が聞こえた気がした。
ゆっくりと今日の陽が沈んでいく。
そして夜が訪れる。tonight。
8.Morse Code
気がついたら列車は夜を渡る銀河鉄道だった。
北斗七星駅からは随分、旅をしたようである。
海峡を渡り交信している灯台への通信が見える。
暗い海に光が明滅し、夜の波が見える。
モールス信号のような音が通奏低音で鳴っている。
やがて銀河鉄道はゆっくりと上昇していく。
星空を目指して。
9.Ursa
Ursaとは、「おおぐま座」の呼び名であり、その熊の尻尾の7つ星こそが「北斗七星」である。
7つのうち6つが2等星なので、その輝きは見つけやすい。昔から旅人や航海者は、この星を頼りに旅を続けたらしい。
北斗七星駅から出発した銀河鉄道がUrsaに辿り着きました。列車に車掌のアナウンスが鳴って、旅の終着駅が近いことを知らせる。
春は旅人を何処に運んだのだろうか。
10.LONG JOURNEY
リュックサックを背負って歩き始める。
終着駅からかすかに見えたひかり。
先を目指し、進んで行く。
確かな一歩を踏みしめながら。
携帯ラジオが何処かの電波の捉えて、
声が聞こえてくる。
その声は何かを語りかけている。
「きっと人はいつも
それぞれの光を探し求める
長い旅の途上なのだ」
________
________
・あとがきとして
全曲の制作が終わってライナーノーツを書き、曲名・曲順などを整理していく過程で、アルバムに一つの物語性があることに気がついたので、今回の制作ノートにはその物語の「道しるべ」となるような言葉を書きました。
北国に移り住んで最初に取り組んだプロジェクト。
午前中から昼に曲を作り、夕方には作った音をイヤホンで聴きながら雪の街を歩き温泉へ。夜に街灯りを眺めつつ気になった修正点をゴシゴシ直していく。毎日淡々とその繰り返し。
レコーディング・スタジオではなく、自宅録音で作るのも「grace」(2008)ぶりで、北国で一人音楽を作る日々には新鮮さと懐かしさが同居した愉しみがありました。
音楽にどこかしらその音色が聴き取れるようでしたら嬉しく思います。
・スペシャルサンクス
青森に暮らす幼馴染のトシは10代の頃からバンドを共にした仲間で、カレー屋さんとなった彼に日々デモ音源を送り、ベーシストの観点からたくさんのアドバイスをくれました。僕の暮らす北海道から津軽海峡越しの対岸にはチラチラと街灯りが認められます。その故郷から送られてくるアドバイス・メッセージ。灯台の通信のようなやり取りは、まるで「nica」という二人で行なっていた初期のバンドを思い出させるような制作風景で、またこうして彼と音楽を作れたことは個人的に特別な感慨がありました。
また、今回はシリーズで初めてゲストプレイヤーに参加してもらいました。一度サンプリングしたネタを生音で再現するという、難しい手法にも関わらず取り組んで頂いた歌のmaikaとフリューゲルホルン・雄大に感謝します。maikaの歌声にここまでエフェクトをかけた作品はおそらく初めてですね。この世界観も彼女の歌声に合っていて新たな発見でした。
そして最後に、親交の深い料理人BEARD・原川慎一郎さんがオリジナルの詩を書いて、ポエトリーで参加してくれたのも今回の特筆すべきエピソードでした。彼にとっても人生初のレコーディングで、僕の部屋で二人で録音した「LONG JOURNEY」が、結果的にこのシリーズのラストを飾る曲になりました。
まだまだ「長い旅の途上」という心持ちで、次の旅へ進んでいこうと思います。
四季を渡るアルバム制作において受け取ったものは僕にとって、とても大きかったのです。
機会をくれたTHE NORTH FACE、Sphere、hiromichi tanakaさんに心から感謝します。
haruka nakamura
____